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どうも和井です。
今日は一日だらだらしてました・・・ヤバイ・・・良くない・・・。



tooru_itouさんにリクエストいただいてましたSS、上がりました!!!
バロットとウフコックで子年。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あともう少ししかないですよおおおおおお!
itouさん、遅くなってゴメンナサイ!
短いですが私は基本、バロットの幸せを願ってやまない人間なのです。
誤字脱字は・・・・見逃して下さい。お持ち帰りは自由ですv







『ワールド・ミーツ・ワールド』








――ねずみの、とし


其れは声を持たぬ少女の新年初めての言葉だった。




「子年」
ドクター、ドクター・イースター。
言い出したのは彼だ。
恐らく何時ものように相方をからかうつもり満々だったと思われる。

「チャイニーズの、暦さ、大昔のね。まあ、今でも使ってる人は少ないだろうがチャイニーズの文化圏ではずっと習慣として残ってる」

そして指を立てる。
左に一本、右に二本。

「動物を一匹づつ暦に割り当てて、一年に一匹で、全部で十二匹。つまり十二年に一度一巡りする訳だ。まあ、もっと詳しい数え方もあるみたいだけどそこまでは知らないな。
で、一番初めがネズミというわけ。つまり、今年はウフコックの年なんだ」

にやにやと笑いながら相棒の金色のネズミを見る。

いつもの事だからか、ちっちゃなズボンのサスペンダーを直しながらウフコックは黙って聞き流していた。

それを無視してドクターは尚続ける。
「暦だけじゃない。その昔は一ヶ月、一週間、一日の時間すら動物と自然現象に当てはめていたそうだ。
面白いと思わないかい?
因みにネズミの時間はぴったり午前0時だ」

言いながらテーブルの上に置いたコーヒーを含む。
コーヒーは最近ドクターに習って少女―――ルーン・バロットが淹れたもの。
ドクターは少女の真剣な眸に見つめられながらゆっくりと味わい、頷いた。

その反応を見て目を輝かせた少女が黒髪を靡かせながらくるりと振り返り、金色のネズミをひょいと持ち上げ掌にのせる。
期待を込めた眼でじっとウフコックを眺めた。

「・・・・・・・・言っておくが」
コホン、と咳払い一つ。
実に渋い声でネズミが話す。
「私は子年に対しては何の関係もないし、ニューイヤーもめでたいと思うだけで特に何かするつもりはない」
勿論君の料理の腕が上がっているのは実にいい事だが、と続ける。

その返事を聞いて少女は見るからにしょげた。
この面子で祝う初めてのクリスマスとニューイヤー心から楽しみにして居たらしく、ちまちまと飾り付けをしたり、掃除をして綺麗にしたりと、此処暫く高揚感が伝わってきたものだ。
ウフコックは口には出さないが不幸な出自でありながら気高く優しいバロットを愛していたし、大切にしたいと思っている。
それは、バディ以上に。
だからこそ、何か彼女に期待感を持たせるような事はしたくないし、彼女の将来に関わるような発言も避けていた。

それがドクターのからかいの種にも成るのだが。


かわいらしく飾られた窓のホログラムや、電光はとてもまぶしくて、まるでバロットそのものを見るような気がした。




―――――怒ってる?
その夜、いつものようにバロットへお休みの挨拶を。
ライトスタンドにとりついていたらバロットからそんな言葉をかけられた。

「怒る?何故」

――――ねずみのとしだから。ウフコックは気に入らなかった?

「気に入らないことはない。それにドクの軽口には慣れてる」

――――でも、なんか機嫌が悪かった

「そう見えただけだろう。私はバロットには出来るだけの事をしてあげられたらと常々思っている」

――――そんなの、私だってそうだもの

「そう、とは?」

――――私だって、ウフコックに何かしてあげたい。ドクターにしてあげられる事があるなら嬉しい。

「・・・・・・お互いにそう思っているのなら、それは素晴らしい事じゃないかね」

――――すばらしい?

「人間とネズミは違う時を生きている。体内時間が違うから。でもそれは全ての生き物、勿論人間と人間だって同じだ」

――――どういうこと?

「動物も、人間も、それぞれ自分の世界の中で生きている。それは仕方のない事だ。それがあるから戦争や犯罪があるが、逆に理解しようとする心や愛が産まれる。
いわば、とても尊い事だと私は思うよ」

姿勢を正してウフコックの言葉を聞いていたバロットはゆっくりと顔を上げ、金色の、ふわふわのネズミを抱きしめた。
あわあわとするウフコックに素知らぬ顔で言う。

――――じゃあ、やっぱりお祝いしなきゃ。みんなの世界が出会ったお祝い。みんなの世界に出会えたお祝いを。


そんな二人の影はとても幸せそうに、たとえその時間が永遠のものではなかったとしても、その一瞬は確かに永遠に見えた。












次の日。
窓の外は雪だった。

滅多に雪など降らないマルドゥックシティだ。バロットのはしゃぎ様は見ていて二人を温かい気持ちにさせた。

雪で作ったネズミと雪だるまの女の子はバロットの手で大切に冷凍庫へと封入された。
それはまるで、仲睦まじい恋人のように並べられてとても幸せそうに見えた。












今日の一曲:the pillows「ハイブリット・レインボウ」
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